日本語教育

文型シラバスとCan-doシラバス

【文型シラバスとは】
 文型シラバスとは、その課で学習する文型(文法)が決まっており、教えた文型と語彙を使って次の課の文型と語彙を教え、そこで教わった文型と語彙にこれまで学習してきた文型と語彙を加えて次の課を教え、文型を積み上げていって日本語力をつけさせるシラバスのことを言います。
 このシラバスが背景にある最も有名な教材が『みんなの日本語』です。この教科書は、各課ごと非常によくできており、0初級の学生を0課から『日本語を使って日本語を教える』いわゆる、直接法の教科書になっています。
 また、この教授法は日本語教師養成講座では『正統派』とさえ言われているようで、かなりの数の日本語教師養成講座では、この『みんなの日本語』を使用した『文型積み上げ型』の授業のやり方を教えているようです。そのためこれらの養成講座を終えた新人日本語教師たちのことを『Can-do信奉者』は『みん日信者』と呼んでいるそうで、「時代遅れだ!」とさえ言われているようです。因みにミミ―が受けた養成講座の研究教材は『日本語初歩』と『Japanese for busy people』でした。時代を感じます。

【Can-doシラバスとは】
 文型シラバスとよく比較されるのがこのCan-do シラバスです。これは『~が出来る』という点に学習目標をおいたシラバスです。
 文型シラバス(みんなの日本語)の各課の到達目標が『今日の学習目標は【テ形】です!』であるのに対し、Can-doシラバスの到達目標は『今日の学習目標は【買い物ができる】です!』となります。これに対応した教科書としては『できる日本語』『まるごと日本のことばと文化』と言った教材で、いわゆる『行動中心アプローチ』の到達目標が設定されており、その授業を体験するとその目標の日本語力が身につくように出来ています。
 海外の学校では、その国の言語を媒介語として使用し、画期的な効果を上げています。中国では中国語を媒介語としてCan-do授業を行い、わずか1年で0初級の学生をN1合格させるという、にわかに信じがたい現象が起きています。また、ベトナムでも、ベトナムでナンバーワンのハノイ大学では古い学習方法で結果が出ず、代わりにハノイ貿易大学では、Can-doを使い、N2合格者をバンバン出しているという話も聞いています。