入試のレベル

 では次に、実際に外国人留学生が受験する特別選抜入試のレベルとは、どの程度のものでしょうか?

センター試験が必要?

 外国人留学生が受験するのは特別選抜入試です。外国人入試受験を考える人たちからよく耳にするのは、日本人が受験するセンター試験の話です。センター試験とは、日本人受験生たちが大学を受験する際に行われる日本全国一斉の試験です。しかし、 大学受験だからということで、外国人留学生の中には、日本人のセンター試験との関係を考える人がいますが、全く関係ありません。外国人入試にセンター試験は全く無関係なのです。
 センター試験に関心のある方は、【大学入試センター】のページで確認して下さい。

 また、センター試験レベルの学力も必要ありません!!
 このようなことを言うと意外に思われるかもしれませんが、ただでさえ日本語学習が大変なのに、それ以上、学生を苦しめるほど、日本の大学は厳しくないのです。時々、センター試験レベルの学力が必要だと口にする日本語の先生がいますが、その人が間違っています。特に耳にするのは、日本留学試験の総合科目です。
 日本留学試験の総合科目に、

 センター試験レベルの問題など、一度も出題されていません!

 関心があるようでしたら、実際に大学入試センター試験の問題を見てみましょう。おどろくほど高度です。嘘八百を信じる前に、実際に問題を解いてみてください!かなりの日本語能力がなければ解けないでしょう。嘘をつく人たちは、その人自身に学力がなく、実際にセンター試験の試験問題など、半分も正解できない人たちです!口から出まかせを言っているだけの人たちです。
 受験を知っている者からすれば、総合科目にセンター試験レベルの出題は確認できていません。中学受験レベルの、公民では高校受験レベルの、予備校ではなく普通の学習塾で教えるようなレベルです。それ以前に、日本語能力さえあればそれだけでかなりの問題が解けてしまいます。さらに、仮に小中学生では学習しない知識の用語が出てきても、それ以外のヒントで正解が導き出せるのです。

 日本留学試験のサイトを見ると、総合科目のレベルに関する説明の中で『世界史A』と言った記述が出てきます。最近、見られるようになった記述ですが、この『世界史A』とは何でしょうか?まずそこから勉強しましょう。そして、学力がない日本語教師は、試験範囲が『世界史A』と書かれているからセンター試験レベルだ、などという短絡的な思考を捨てましょう。
 『世界史A』と指定してくる公の試験、実はセンター試験以外にもあります。『高等学校卒業程度認定試験』という試験です。『センター試験』と『高等学校卒業程度認定試験』で出題される『世界史A』という範囲を比べてみましょう。全くレベルが違います。
 それと同じです!

センター試験レベルの学習など、全く必要ありません!!

 なら、数学は?
 …悩む前に、自分で解いてみましょう!
 余計な心配をせず、しっかりと勉強してください!

 指導にあたる日本語教師の方たちは、ちゃんと自分で試験問題を解いてください。眺めただけで分かったつもりになって、出鱈目なことを教えないでください。

高卒程度認定試験『世界史』試験問題
日本留学試験『総合科目』試験問題

留学生は、まずは日本語を勉強しましょう!

外国人留学生の大学入試 個別試験

 さて、さらに大学の個別試験ですが、これまたセンター試験レベルは必要ありません。…って、いい加減、実際のセンター試験の問題をよく見てください!日本人でさえ、頭がこんがらがるような日本語の選択肢がならんでいますよ。

 そして、これもよく口にするのですが、
 大学入試に専門知識は必要ありません!!
 常識で考えましょう。
 専門知識のある人は、大学へ行く意味などないんじゃないですか?
 専門知識が必要なのは学部入試ではなく大学院入試です。
 しかし、外国人入試の場合、学部入試と大学院入試を比べると遥かに大学院入試の方が簡単です。
 ですので、論外としましょう。
 時々、『この試験問題を見なさい!これは専門知識じゃないですか?』と勘違いして、私に苦情を言う日本語教師の方がいらっしゃいます。また、同様のことを口にする外国人学生もいます。しかし、その問題をよくよく見てみると、高等学校の授業で教える学力レベルの話です。高校レベルの問題を専門知識のように難しいと感じるのは、本人に学力がないからにすぎません。学力がないから『専門知識だ!』などと叫んでパニックを起こすのです。
 ここで日本社会の大常識をお教えします。
 日本社会において、大学へ進学するためには、高等学校というところを卒業しなければならないのです。ですので、大学入試で出題される試験問題は、高等学校で学習した内容が出題されるのです。それは決して大学で学ぶ“専門知識”ではありません。
 数学の練習としてセンター試験レベルの問題をやらせるならともかく、日本語能力が前提となる文系科目に至っては時間の無駄でしかありません。
 センター試験を解けるレベルの日本語力があれば、放っておいても大学へ進学できます(笑)!

 一流大学の入試では必要?
 なら、まずは一流大学の過去問とセンター試験の過去問を解いてください。
 私からすれば、センター試験以外の対策をした方が早いと思いますが。
 外国人入試にセンター試験レベルの学力も、専門知識も必要ありません。

日本語能力と大学の難易度は無関係です。

 日本語の先生の仕事は日本語を教えることです。ですから、学生の日本語能力を評価するのは当然です。しかし、誤解してはいけません。日本語の先生たちに教えることができるのは、あくまでも日本語の指導です。
 時々、というか、ほとんど全てと言っていいですが、日本語能力で学生の質を判断する、いや、決めつける日本語の先生がいます。そして、学生の方も、日本語能力で自分の進学先を決めてしまう学生がいます。
 大間違いです!!
 ここで、これまたはっきりと言います。
 日本語能力と、大学の難易度は無関係です。

 実際にあった話です。
 日本語能力でクラス分けをしたのですが、あまりに日本語能力がお粗末で、最下位クラスへ無理やりクラス変更をさせられた学生がいました。もちろん、日本語能力でクラス分けをしたのだから当然です。
 ところが、驚いたのは、クラス変更をさせた日本語の先生が、『あの学生は日本語力が低いから、大学進学は無理。』と決めつけていたのです。
 確かに日本語能力が低く、その学生自身も日本語能力の低さを反省していました。しかし、こと大学入試となると、日本語力以前の資質が大きく問われてくるのです。
 その学生は日本語はダメでも英語が堪能でした。TOEFLでも非常に高得点をマークしました。そこで、英語で大学入試を勝負させることにしました。
 本人は日本語能力に劣等感を抱いており、自信がなかったようですが、試験終了後の自己採点では、英語の試験が満点。また、もって生まれた愛嬌のある人柄で面接試験も難なくパスし、結果は見事に合格!高倍率の偏差値上位大学へ進学していきました。
 そう。
 日本語能力で進学先を決めてしまうほど愚かなことはありません。
 日本語力で進学先など選べないのです!
 別に彼に限ったことではありません。たとえ日本語が下手でも、その学生自身が持つ素質を見抜いて大学は合格させます。私が指導したかなりの学生が『合格最低点じゃないのか?』という日本語力で進学していきます。データと実績が証明しています(…あ、自慢じゃないですよ。現実を教えているだけです)。
 日本語が下手なまま大学へ行ったら後から困る?
 そのとおり!
 だから、大学へ行ってからもしっかりと日本語を学習しなければなりません。
 ただ、留学試験の日本語で395点(最高点)をマークした私の学生が、大学進学後、必修単位として強制的に日本語を選択させられ『み○なの日本語』で教わる姿は、何と言えば良いのでしょうか…。
 だから、どうか『日本語が下手だから』という理由だけで、夢をあきらめないでください!

 夢を抱いて日本へ留学してきた皆さん、日本の大学へ進学しようと思ったら、正しい情報を集め、正しい勉強方法で、正しい受験方法で受験し、そして、合格して下さい。方法を間違えなければ、必ず大学に合格することが出来ます。方法が正しければ、後は努力をすればいいだけです。そのためにもまずは正しい受験対策を実施するようにしましょう!