改正入管法と日本語学校の類型化

 10月3日(月)、第210回臨時国会が開会されました。国会関係者のお話では、今国会に日本語教育機関に関する法案が提出される予定とのことです。

 現時点での想定をまとめます。

  余談:現在の大学入試

 受験生:共通テスト→採点、成績管理をAI(人工知能)が行っている。

 高校生:基礎学力テスト→採点、成績管理をAI(人工知能)が行っている。

大学入試:大学・個別試験→AI(人工知能)で判定できない部分を大学が判定。

●日本全国の高校生330万人の成績をAI(人工知能)が管理している。

●外国語・教育改革のポイント

 これまで『読む』『聞く』『言語知識』に偏った英語教育を行い、中学・高校で6年間、英語を学んでも一言も会話ができないありさまだった。経済界からの強い要望と言いながら『読む』『聞く』『話す』『書く』『やりとり』の4技能5領域の外国語教育へと変革している。

●文科省(文化庁)の取り組み

 同様に日本語教育も日本国内においては外国人を『日本社会を構成する一員』として、コミュニケーション能力をつけさせることに重点を置いた『日本語教育の参照枠』を取り入れた教育へと変化させる。これまで『読む』『聞く』『言語知識』を問う日本語能力試験(JLPT)での評価見直しが進んでいる。また、『登録日本語教師』の国家資格を創設することによって日本語教育の質の確保と教育の質の向上を目指す。

●日本語学校の類型化

 文科省(文化庁)は類型化の認定制度を創設することによって、日本語学校の格付けを行うのが目的である。よって、無理に類型『留学』認定機関の審査を受ける必要はない。

しかしながら、法務省(入管庁)は、これら類型化に対し『在留資格交付申請』を行える日本語学校とそうでない学校とに振り分ける考えである(議員秘書)。

故に、今後も留学生を扱いたければ、まずこの認定審査に通過しなければならない。

●改正入管法

今国会での改正入管法の提出は見送られたが、来年の通常国会での法案提出を目指し、法務省(入管庁)は引き続きキャンペーンを行っている。

https://www.moj.go.jp/isa/laws/bill/05_00007.html#midashi03

 テロ対策のため、ICチップの入った在留カードをもとに、在留外国人を監視している。テロリストへの資金流出を防ぐことを理由に、銀行口座等の金の流れも監視している。このシステムによってAI(人工知能)が在留外国人の在留資格、及び、金の流れを全て監視できるようになる(既にこのシステムで日本語学校は監視されていると考える)。

 今回の改正入管法でこれらAIの判定を元に大々的に取締りを行えるようになる。

 これまでの入管職員によるチェックをAI(人工知能)が行うことによって、日本語学校(だけでなく様々な機関)への監視も精密、且つ、正確となり、より厳しい審査・監査が行われることが考えられる。

想定①

 国会関係者の話どおり類型『留学』認定機関のみに在留資格『留学』認定証明書交付申請を行わせるようになれば、かなりの割合で、告示校抹消となる日本語学校が出てくる。

想定②

 仮に文化庁の改革が骨抜きにされても、今回見送られた改正入管法が成立すれば、日本語学校職員が把握していない学生の実態を入管(AI)が把握し次々と不法就労が明らかとなり、大々的に取締りを行う可能性が出てくる。

その後

 今国会(第210回臨時国会)で、日本語教育機関に関する関連法案が可決された場合、夏までに政令・省令の措置が行われ、この業界がパニックに見舞われる。仮に、今国会での法案提出が見送られた場合、今年10~12月に行われる予定だった政令・省令の措置が1年延長される。

現状 
 改正入管法の趣旨を読む限り、間違ったことは言っていない。入管法の改正に反対する者たちが口々に『多様な存在を排除するな!』と言っているが、悪質な犯罪者の排除は当然のこと。反対者がもっともらしいことを言っている裏では、外国人や海外との金の流れを把握されてしまうと困る政治家がいるから、反対しているという推測も成り立つ。
 今後は、改正入管法と日本語学校の類型化を同時に見ていく必要があるだろう。

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