さて、おおよその外国人入試に関して書きましたが、最後に合否判定について説明します。
まず、ぶっちゃけ、確実な合否判定は出来ません。
大学入試の成績評価の仕方には2通りあります。
1つは相対評価と呼ばれ、もう1つは絶対評価と呼ばれます。相対評価入試というのは、成績(数字)で相対的な位置(順番)を決め、その上位何人を合格させるという入試です。そして、絶対評価入試というのは、数字などで序列を作らず、1人1人を検討し、○か×か、合格か不合格かを決める入試です。『特別選抜入試』と『AO入試』で募集される外国人入試は絶対評価入試扱いされる場合が多いです。つまり、どんなに日本留学試験で好成績をとっても不合格になる場合もありえるのです。そこには、成績以外の要素が働きます。
その1つに倍率があります。
年度によっては様々な要因で外国人留学生数そのものが多くなったり少なくなったりしますが、留学ブームの時には300名受験して合格者が2名なんて大学もありえます。どんなに成績優秀な学生でも、絶対評価入試を受ける際は倍率によって限りなく左右されるのです。
また、スケジュールのページで時期的なお話を書きましたが、年内受験(9~11月)の大学は合格しやすいです。まず、真面目に試験を実施してくれます。このような言い方をすると疑問を持たれるかもしれませんが、ここで言う真面目とは、時間をかけてくれるというお話です。年明け1~2月には、日本人の一般入試があり、どこの大学もこの時期、数千人、多いところで数万人受験する日本人受験生の合否判定で多忙を極めます。本音を言うなら、外国人の入試に手間をかけている時間はないのです。ですので、この年明けに募集、実施される外国人入試のほとんどが『留学試験必須』の試験です。そのような状況から、自然と留学試験の成績で合否判定が決まってしまいます。
無論、面接をして、どのような外国人受験生かを確認しますが、それも日本語力以前に『雰囲気』を見ます。やはり、ヤバそうな雰囲気の男性は不利になるでしょう。
あくまでも『絶対評価』がタテマエですので、乱暴な言い方をするなら『何でもあり』の入試になります。ですので、どんなベテランの先生でも『合格の保証』が出来ないのが『特別選抜入試』の常識です。
また、成績以外にも、外国人には次のような場合も起こり得ます。
【留学試験以外の要素、面接、試験等が理由の場合】
どんなに留学試験で好成績をとっても、小論文で変な話を書いたり、日本語力不足を指摘されたりした場合、充分に不合格になる可能性があります。
【優秀過ぎる受験生の場合】
時々あります。優秀な受験生はその大学よりもさらに有名な大学を受験するだろうと大学が判断し、不合格にします。明○大学などはこの条件が有名で、優秀な受験生はライバル大学の早稲田大学へ行くだろうと判断し、不合格にする場合があります。また、慶應大学でも同様の傾向があります。
【他の受験生が同じ銀行の偽造書類を提出した場合】
A国人がA国のB銀行の書類を提出する際、偽造書類を提出し、それが発覚した場合、同じA国のB銀行の書類を提出した他の受験生が例外なく全員不合格になります。これは、大学の判断ではなく、入国管理局が不許可にするのと同じで、不合格となります。毎年、何人かこれで不合格になります。
【保証人が若い場合】
外国人が大学へ入学する際、身元保証人みたいな方を提示するよう言われます。その保証人が若く、20代、30代だと、不合格になる場合があります。50代くらいの社会的地位のある方が一番ふさわしい保証人にあたります。
ただし、たとえ50代でも、日本語学校関係者だと不合格にする場合があります。これに関するトラブルが後を断たないため、保証人については面接でも詳しく質問される大学があります。去年、桜美林大学を受験したうちの学生の保証人が全員同じ日本語学校の校長先生で、その点を指摘され、成績に関係なく不合格になりました。