月のうさぎ

昔々あるところに、猿と狐とうさぎがいました。3匹はいつも楽しそうに仲良く暮らしていました。
3匹が言いました。

「困っている人がいたら、助けようね!」
3匹たちは、困っている人を助けて善い行いをしようと思っていました。

ある時、3匹の前に老人が現れました。老人はボロをまとい、がりがりにやせ細り、くたびれた表情で倒れていました。
「おじいちゃん、大丈夫ですか?」
3匹が声をかけると、老人は今にも消えてしまいそうな声で言いました。
「腹が減っとるんじゃ。何か食わせてくれ…。」
それを聞いた3匹たちは、早速、張り切りました!
「おじいちゃんを助けなきゃ!!」
3匹たちは張り切って、老人のために食べ物を探しに、森の中へ走っていきました。
もともと頭のいい動物である、猿と狐はすぐに食べ物を見つけ、老人にあげました。老人は猿と狐がくれた食べ物を美味しそうに食べました。
けど、どうしてもうさぎだけは食べ物を見つけられませんでした。一生懸命、野山を駆け回って食べ物を探しました。それでも食べ物は見つけられませんでした。
猿と狐が獲ってくる食べ物を美味しそうに食べる老人の姿を見て、うさぎはしょんぼりしました。そして、決意しました。
「ねぇ、みんな!今度こそ美味しい食べ物を獲ってくるから、焚火の準備をしておいて!」
そういうと、うさぎは食べ物を探しに森の中へ入っていきました。
そこで猿は枯れ木を集め、狐は火を起こして待っていました。きっとうさぎが食べ物を持ってくるだろうと待っていたところ、うさぎがやってきました。結局、うさぎは何も見つけることが出来ませんでした。
狐が言いました。

「お前は何を持ってきたんだ?思ったとおりだ。嘘をついて騙して、焚火を起こさせて、自分は何もしないで温まろうとしたんだな?ずるいやつめ!」

猿と狐は、うさぎを責め立てました。すると、うさぎが言いました。

「ごめんなさい。僕、頭が悪いんだ…。だから、食べ物が見つからないんだ。おじいちゃん、本当にごめんなさい…。」
そういいながらうさぎは涙を流しました。そして、
「僕には何もできない…、だから、どうか 僕を食べてー!!」
そういうなり、うさぎは燃え盛る焚火の中に飛び込みました!!
「わーーーー!!!!」
これにはさすがの猿も狐も、そして、老人もびっくりしました!
「うさぎーー!!」
炎はたちまちうさぎを飲み込み、うさぎの身体を焼きました!すると突然、老人が立ち上がりました。両手を天高く広げ、呪文を唱えると、突如、雷雲が巻き起こり、巨大な稲光が天空を切り裂きました!!
ピカッ!!バリバリバリ!!ゴゴゴーー!!!!
「ひえぇぇぇ!!」

突然の稲光に驚いた猿と狐は一目散に木の陰に隠れました。稲光と同時に、ものすごい豪雨が降りだし、うさぎを焼く炎を消し去りました。

辺りが静かになりました。

あまりの出来事に、ブルブルと震えていた猿と狐が、恐る恐る木の陰から老人の方を見ると、みすぼらしかった老人が、いつの間にか神々しい光を放っていました。

そして、消えた焚火の前に立つ老人が言いました。
「うさぎよ、オマエの気持ちはよぉく分かった。私は嬉しいぞ。オマエのその慈悲の心が…。」
黒焦げになり、焚火の後に横たわるうさぎに向かって老人は言葉をつづけました。
「だが、うさぎよ。自分の命まで犠牲にしてしまったら、もう2度とオマエの慈悲の心で誰かを助けることができなくなるではないか。」
「ごめんなさい…。」
「命まで犠牲にするでない。自分が出来ることを精一杯やるだけで良いのじゃ。」

「はい…。」

今にも命が途切れそうな悲しい声でうさぎが言いました。

「もうお前の命は尽きてしまう。この世では生きられぬ。その慈悲の心のお礼にオマエが大好きだった月の国へ、オマエを送ろう。そこで永遠に生きるのじゃ。そして、満月の夜、オマエの慈悲の心で餅をつき、その餅を大勢の困っている人たちに配ってあげなさい。よいな?」
「はい…。おじいちゃん。」

すると突然、老人の身体が光り、大きくなりました。大きくなって、とても大きな神様になりました。咆哮と共に神様が言いました。
「生きとし生けるあらゆる者たちよ、聞け!!
 我はうさぎを月の国へ送り、その姿を月に刻む! 月を見よ!そして、見るたびにうさぎの慈悲の心を知れ!」
神様が大きく手を振ると、地上から一条の光が月へと伸びました。
「我が名は帝釈天!
 天界の守護神、インドラなり!!」
見ると、光の中をうさぎが楽しそうにぴょんぴょん跳ねて
月へと上っていきました。

それ以来、満月の夜、月を見上げると、お餅をついているうさぎの姿を見ることが出来ます。それは、うさぎがお餅をついて、困っている人たちに配っている姿なのです。

おしまい。

tukiusagi

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自分に出来ることを精一杯、やるだけでいいんだよ~身体を壊したり、命を落としてまでやる必要はないんだよ~そんなことしたら、帝釈天に怒られるぞぉ~
嫌と言えなくて何でも引き受けちゃって
他人の目が気になって気になりすぎて良い子にならなきゃって無理しちゃって
何でも一人で抱え込んじゃって
必死になって頑張りすぎて自分を潰しちゃう月うさぎのような先生

そんな先生たちがうさぎ団を結成しました。